えろすかろす物語-3-
(19〜27)



     

庭の赤い牡丹が散り始め、緑が多い光景となった友子と由紀夫がいる離れ部屋。濃密な身体と身体の交情が終わったあとの離れ部屋。友子は白いブラウスにチェックのフレアースカートで、何事もなかったかのように、縁側で画集を見ていた。モリニエの画集には、女体がいくつか絡まって奇妙なエロスをかもし出している。
そう、心の奥底でなにか疼く情がある。友子は、このうごめく情が在ることを、由紀夫と交情する前に感じているような気がする。
<女だから感じるのかしら?男のヒトってどんなのだろう?>
友子は、由紀夫の身体しか男を知らない。エロスを描いた芸術家、それらはいずれも男であった。芸術家って、男と女の間を行ったり来たりしているのかも知れない、と友子は思う。由紀夫が友子の下着を身につけたことがあった。なんとも滑稽な姿だったが、友子の前で、友子が脱いだスキャンティを穿いたのだった。股間の前が膨らんではいたが、それはエロスを感じさせた。

「ねえ、ゆきさん、モリニエって、変態だったのよね、きっと!」
「そうかも知れないね、でもさ、人間の欲情ってさ、どうぶつと一緒!」
「あの牡丹のお花も散っていくわね〜わたし〜」
「どうした、わたしがどうした〜?」
「わたし、ううん、はたち、なの、20歳」
春、夏、秋、冬。この1年間で植物は生を営み、春に花を咲かせる。女の生涯80年、20歳は春爛漫のいま。牡丹の花が咲くってゆうのは、ヒトならば二十歳の年頃なのである。
「いま、わたし、花の盛りなのかしら」
「そうかもね〜友子は綺麗だ、花の盛りだ、そうだよ、きっと!」

     

友子は由紀夫と一緒に土蔵へ入った。織物問屋を営んだ先代のコレクションが保存されている土蔵である。薄暗い土蔵の中は、棚があって木製の箱が並べられていた。その木製箱の一つを取り出し、由紀夫が蓋をあけた。なかに収められていたのは、いくつもの張形であった。
「わ〜これ、なによ〜これ!」
「びっくりした〜?これ、江戸時代らしいんだ、張形、友子にもわかる〜?!」
由紀夫が箱の中から張形の一つを取り出して、友子に手渡した。
「ひとりで使うこともあれば、男が使ってやることもあったようだね、もちろん女どうしでも・・・」
「ううわ〜・・・・」
友子は、少し恥ずかしさの気持を感じた。それは由紀夫が側にいて、手渡されたからである。許婚とは云え、女が使う男の代物をまじまじと見せられたからである。

「うふふん、まだ、使えそうやろ〜、うまく造ってあるね〜!」
友子は、それが自分の秘所に入ってくる姿を連想すると、ふう〜っと気が抜けていくようなめまいを感じた。土蔵のなかで、友子は、由紀夫にぐっと抱きしめられた。
「ぅうう〜あ〜ゆきさん〜う〜うう〜ん」
「友子、感じてるんやろ〜張形見て〜だから〜ここで〜!」
「ぅううあ〜ん、もう〜こんなとこで〜う〜うわぁあ〜」
由紀夫は、抱きしめた友子の腕を後ろにまわさせ、そばの縄で手首を縛った。
「ぅうううわ〜こんなとこで〜ぅううわ〜ん〜」
土蔵の上部から射し込む光の明るさのなか、友子は着衣のまま後ろ手に縛られ、縄を柱の金輪に留められた。

     

土蔵のなかで、後ろ手に縛られ縄を柱の金輪に留められてしまった友子。由紀夫の悪戯に友子は驚いた。
「ぅううあ〜こんなところに括るなんて〜ぅううわ〜」
友子はさほど抵抗はしなかった。むしろこのお遊び、少女のころに漫画を見た記憶がよみがえり、男にいじめられる好奇心が沸いてきた。
この土蔵に保管されてきた逸品、浮世絵春画や錦絵春画を由紀夫が持ち出してきては友子に見せていたのだったが、こうして土蔵に連れ込まれ、江戸期の張形があったとは知らなかった。

友子のそばに置かれている張形を、友子は使っていかせて欲しいと思った。

「友子の縛られた姿って、いいね!ゾクゾクしてくるね、怪人になった気持だよ!」
「ぅうう〜わたし〜ああ〜こんなとこで、こんな〜恥ずかしい〜」
こうして着衣のまま縛られて、これからはじまる由紀夫の行為の仕舞いに、友子は目眩を感じた。
由紀夫が友子のブラウスのボタンを外しだす。由紀夫は昂奮しているらしく息が荒くなっている。ブラウスの前をはだけさせ、スカートの裾をまくりあげ、そうして腰で丸めて留められた。友子は後ろ手に縛られたまま、下着が丸見えの格好にされていた。


由紀夫は友子の穿いているスキャンティを脱がせた。下半身が裸になった友子、土蔵のひんやりした空気を肌に感じた。
「ぅう〜あ〜ゆきさん、わたし〜こんな〜ぅああん〜だめよ〜!」
「友子、いいよ〜かわいい〜!写真撮っておくね〜!」
由紀夫は携帯をとりだし、友子の正面から写真を撮った。
「写メールしておこうか?友子の携帯へ〜!」
「ぅうう〜う〜ん〜うああ〜ん!」
友子の手元の携帯が、メール着信を知らせた。由紀夫は、ともこの携帯を持ち、送られてきた写真を開け、後ろ手に縛られた友子に見せる。
「ほら、みてごらん、いま送った写メール、ほら、友子が写ってる」
「ぅううあ〜も〜そんな〜だめよ〜そんなのして〜!」
携帯の画面に写ったあられもない自分の姿を見て、友子は顔を赤らめる。

     

由紀夫の悪戯ともいえるお遊びに、友子は嫌がる様子もなく、一緒に気持を昂ぶらせて遊んでいる。いろいろとお道具を使って、心に沸き起こる感情を楽しんでいる。その先に、身体を弄んで心を開放する男と女の交情がある。
「ぅうう〜わ〜ゆきさん〜うう〜ん、ぁああ〜ん〜」
由紀夫の手が友子の胸元をまさぐりだすと、友子は喘ぐような声をかもしだす。手を後ろに縛られて柱の金輪に括られた友子は、自由を奪われてこれから姦淫されていくのだ。
「ほら、もう感じだした、友子は敏感なんだね〜!」
「ぅうう〜うわ〜ん〜もう〜ダメよ〜!」
由紀夫の手が腰にまわり、前からお尻を触りだし、ウエストまわりを撫ぜさすり、そうして太腿をまさぐりだした。

由紀夫は、下半身を裸になった友子の右膝に紐をかけて柱の金輪にとおした。そうして友子の太腿から膝をグッと引き上げて留めた。
「ぅううあ〜ゆきさん、ああ〜なにするの〜こんな格好にして〜!」
「ううん、ねえ、友子、この蔵でね、昔、こんなことがあったんだって、記録にあるの!」
昔、奉公娘がこの土蔵のなかで、喜悦に咽ぶお仕置きを、男たちから受けたというのだ。いま、由紀夫によって、友子をして再現させると云うのだ。
土蔵の棚に置かれた箱に、仕舞い込まれた張形は、そのままになって保存され、今になって明るみに出た。

ブラウスはボタンを外されたまま後ろ手に括られた友子。そうして臍から下を剥きだして片足吊られて立たされた。薄暗い土蔵の中で、由紀夫は友子を生贄にしてのエロスの匂いをここに再現しようと云うのだ。
「ぅうう〜あ〜ん、ゆきさん〜わたし〜こんなの恥ずかしい〜!」
「うふふん、友子、昔はね、16で、ここでお仕置きされたんだって!」
二十歳の友子はもう大人。学生身分というものの身体は立派な大人の女。いや、今がいちばん花盛りなのかも知れない二十歳の友子。オーガズム、エクスタシー、恍惚の世界は、開発されて花開く。そういえば浪漫美に興味を示す友子の情は、女の性を潜在充満させる牝なのかも知れない。

     

由紀夫の手に持たれた張形は、 小型で秘所に埋め込ませることが出来るほどの長さのモノだった。張形の根元には紐が四本つけられていた。
「友子、これ、ほら、この張形、よさそうだね〜!」
「ぅうう〜あ〜ん、それで、何するのよ〜ぅううあ〜ん!」
友子は張形を目の高さで見せられて、頭の中、めら〜っと炎がともったような熱いものを湧き出させた。

「これでね、うふふ〜友子をお仕置きしてあげるのさ〜!」
もう云うまでもなく、友子には由紀夫の意図が見える。張形を秘所に押し込んで、腰で結わえようとしているのだ、と!
「どうしょう、友子、ここのお口を塞いでおこうか〜!」
友子はハッとした。そうして頬が熱くなっていくのを感じた。そうして胸がドキドキしだした。この土蔵に保管された縛り絵に、こういう格好したのがあった。その絵の中は、日本髪に着物の女であったが、喜悦に顔をゆがめた色艶の、耽美な絵であった。

張形の先が開けられた友子の股間に押しあてられた。由紀夫の指が秘唇をまさぐり、そうしてビラビラを指で開いて、亀の頭の部分を秘口の内へと入れた。友子の秘唇と秘口の内は、まだ十分に濡れてはいなかった。
「ぅうう〜あ、いたい、うあ、あ〜そォっと〜して〜ああ〜ん」
「まあ、友子、もうちょっと、ここを濡れさそうね〜!」
由紀夫は、張形を外し、指を押しあて、そうして秘口の奥へと挿入していった。友子も由紀夫も土蔵の中で、昔におこなわれた16娘のお仕置き姿を想像しながら、いま、自分の身体を使って再現しているのだった。そうこうしているうちに、張形は友子の秘所の奥へと埋め込まれ、前へ二本、後ろへ二本と紐が引き上げられて、フンドシ締める格好で、友子の腰のくびれで括られた。

     

土蔵のなかで繰りひろげられる友子の妖艶を、由紀夫は写真とビデオに収めていく。土蔵の入り口からは正面の柱に括られた友子の像。柱を背にして後ろ手に括られて立ち姿、上半身ははだけたブラウス、腰から下は剥きだしで、右の膝には紐が結ばれ柱の金輪に引き絞られている友子。股間に埋め込まれた張形は、吐き出す力で抜けないように、腰に紐で括ってある。高い窓から差し込む光が、友子の妖艶な姿を浮き上がらせる。
「ぅうう〜ん〜あ〜ん〜ぅうう〜あ〜!」
友子は、陶酔するかのように軽く呻きのような声を洩らしていた。

かってこの土蔵では、16娘がこのように、友子と同じ格好で、縛られ咽ぶその様を絵師が筆を取った。絵筆がカメラに変容すれど、着物が洋服に変容すれど、中味の身体は<女>がいた。
「友子、大切な友子、オレの持ち物、友子!」
由紀夫は、咽ぶ友子の姿態を眺めながら、心に滲みいってくる情欲を感じていた。
「ぁああ〜ゆきさん〜わたし、ああ〜なぶって〜ああ〜ほしい〜!」
友子は、広げた股間に埋められた異物の感触を受け入れながら、悶えるように云った。

由紀夫に膝を持たれて、友子の腰が揺り動かされる。前に引かれ、後ろへ押される友子の膝小僧。
「ぅうう〜あ〜ん、ぅううあ〜ん、ああ〜ん〜ぁあ〜ん!」
膝が前後することで、股間がくびれ、秘所に埋められた張形が動く。秘所の襞が擦られる。擦られることで鈍い刺激が身体の中を這いまわる。
「ぅう〜いい〜ああ〜いい〜ああ〜ぅうあ〜いい〜!」
友子は放心したように虚ろに目を開け、虚ろに唇を開き、そうして呻きとでも悶えとでもいえる声をもらしている。
「ぅうあ〜ゆきさん〜ああ〜ゆきさん〜ぅうあ〜も〜ぁあ〜ん〜!」
友子は朦朧、頭の中では16娘の縛り絵が、かすめていって自分の姿と置き換えられる。
<ああ〜花柄の着物をつけて、ああ〜こうして男に弄られていた〜>

     

ゆっくりと、膝が前後に揺らめいて、そのたびに秘所が感じるそれは快感。二十歳の友子が感じる身体の快感。由紀夫の唇が乳首を咬んだ。秘所から突き上げる鈍〜い快感よりも直裁に、乳首を咬まれた快感が友子を襲っていた。
「ぅうう〜いい〜ぁっ〜はぁあ〜咬んで〜はぁあ〜ん!」
由紀夫は歯で、友子の乳首を軽く咬んでいく。右の乳首を咬んでやり、左の乳首を咬んでやる。そのつどに友子の呻きが漏れ出して、ハアハアと息の音が混じりだしてきた。
由紀夫は、一歩下がって携帯で、悶えて朦朧とする表情の友子の写真を撮った。

「ほら、ほら、友子、見てごらん、写真に撮ったよ、友子の姿!」
「ううあ〜ぅああ〜ゆきさん、わたし〜ああ〜もっと〜!」
携帯のカメラで撮られた自分の姿を見る余裕もなくなった友子。ただただ秘所に押し込まれた張形の快感に悶え喘ぐだけになっていた。
由紀夫のやり口はねっとりしている。友子のからだの反応を見ながら、ゆっくりと昇らせていた。このタイミングというのも、何度も友子と交情を重ねるなかでわかってきた賜物であった。呼吸を合わせるといえばいい。
「うううぐうああ〜ああ〜いい〜ぅうう〜うう〜あ〜!」
友子は、いつもとは違う昇り方をした。そうして縛られたからだを痙攣させ放尿までしてしまった。

友子には、興味と好奇心の混ざった感情のうえに知識があった。由紀夫には、興味と好奇心と云うよりも、世の中の重要な要素であるに関わらず、俗っぽく封印された領域へのチャレンジ精神なのかもしれない。
男と女がある限り、生殖を本能とするからは、第一義には子供を生ませ育てる愛の巣つくり。だがしかし、人間は貪欲で、それだけでは満足できないように仕向けられてしまった動物となった。由紀夫は、男女のセックスを固有の文化としてとらえていた。感情が動くことを「美」の範疇でとらえるとすれば、男と女の交情は、美であった。

     

土蔵の中は男と女が交情するにはうってつけの場所となった。友子の美意識が土蔵に共感させたようだった。土蔵の中で縛られてオーガズムを迎えさせられた友子は、いつもとは違う昂奮の仕方を見せた。呻きも悶えも、一段と深くで昂ぶったようだった。アクメを迎えたとき、友子は気絶してしまった。
「友子、きょうのいきかたは、これまでの最高だったみたいだね」
終わって気がついた友子に、由紀夫の最初の言葉だった。
「ぅあ〜もう、わけがわからなくなってしまったのよ〜覚えてないわ〜もう〜!」
恥ずかしい〜という素振りをみせながら、友子がいった。

「昔、ここで、さっきやったみたいなことが繰る拡げられていた、なんて想っただけで、もう気分乗っちゃった」「そう、昔は16娘だったと書いてあった、昔は、成熟が早かったのかな〜!」
「この土蔵の中って、なんか魅力的だわ〜わたし」
友子をしてなにがそんな感じにさせるのかは、わからないが、友子は気に入ったというのだ。

友子の携帯へ送信された写メール。土蔵の中で、友子が縛られアクメへ昇らされたときの姿が数枚、友子の手元にあった。学校の帰り、喫茶店へ入った友子は、ダージリンを飲みながら、携帯の中に保存されている画像を見ていた。
自分が主人公のあられもない下半身裸の写真。表情は放心したようにうっとりと、はだけたブラウスの間に乳房が見える写真。友子は、心臓が高鳴り赤面する。だれにも見られはしないかと、周りを気にしながら、画像にみいった。自分のポートレート、それもヌードをしのぐ格好をした自分。その自分の写真に見入る友子。

     

なにか変な感じがする。恥ずかしいような、嫌なような、嬉しいような、自分であって自分でないような感じ。そうして写真を見ていると、そのときの場面が思い浮かんできた。責められる女が、自分の姿から想像上の16娘に変わり、時代が昔に移っていった。

16娘はポチャリした体つきをしていた。まだあどけない表情をした16娘が、男たちの中で縛られ、裸にされていく。その傍らには絵師が筆を運んで、16娘の縛られ絵をスケッチしている。妄想のような、夢想のような、幻想のような、友子は目の前の現実。ダージリンを飲みながら、由紀夫に見せられた春画の数々、その画面を思い出し、錦絵に描かれた画面を思い出してきた。そうして「友子・二十歳の花物語」に撮られた映像が浮かんでは消えていった。
<ああ〜空想が、現実が〜わたし、いま、どこにいるんだろ〜ここはいったい何処?>

友子は、夕方には由紀夫の家を訪ねた。門を潜るときには、敷居の高さが気になった。囲われた屋敷の中で、誰にもいえない秘め事がある。その秘め事の現場へ、友子は赴いていた。敷居が高く思えたのは、その秘め事への期待感と、後ろめたさの感覚がそうさせた。
由紀夫は外出していた。友子は、応接のソファーに座った。そうして携帯の写真を再び見た。由紀夫へいつ戻るのかとのメールを送った。数分後に、街へ出てこないかとのメールが返ってきた。そうして食事は、外でしようとの書き込みがあった。
四条鴨川のレストランで洋食を食べたあと、友子は由紀夫につれられてショッピングをした。銀で十字をあしらったネックレスを買ってもらった友子。それから祇園の方へ散策し、静寂な佇まいのラブホテルへ入った。このラブホテル、由紀夫のお目当ての場所だった。

     

ルームは洋室。ベッドがあり、肘掛椅子があり、壁面には鏡が貼られていた。友子は、この壁面に嵌めこまれた大きな鏡に、二人の姿が写っているのを見て、ちょっと面食らってしまった。男と女がルームにいて、することは何かと云うと、抱き合い裸になって交情すること。鏡は、その光景を反射させる装置だから、面食らうのである。由紀夫が友子を立ったまま抱きしめる。友子は由紀夫の腕の中で、しがみつく。そうして唇が重ねられ、友子の体が愛撫されだし、衣服が脱がされていく。パンティだけの格好にされた友子。由紀夫は、友子の腕を後ろにまわし、手首を縄で括りだした。

手首を後ろに回して縛られた友子、胸にも縄が巻かれて、天井から降ろされた滑車に括られて立ち姿になった。パンティだけの姿で立たされた友子の背後から、由紀夫が乳房を抱きしめる。正面の鏡には、友子の姿が写されて、友子は薄目で鏡を見、由紀夫は友子の縛られた姿を背後から見る。そうして由紀夫は、腰を回ってパンティの前から内部へ手を入れる。
「ぅぅうあ、あ〜ん、ゆきさん〜ああ〜ん」
「友子、今夜はここで、ゆっくり愉しもう、ね〜!」
これまでは由紀夫の家の居間や土蔵のなかでの交情だった。そうして手首を括った紐というのは、着物の帯か帯留めだった。今夜はラブホテル。ここで由紀夫は初めて麻縄で、友子を拘束したのであった。

「さあ、友子、ここからどんな風にして欲しい、どうしようかな〜!」
「ぅあ〜ん、ゆきさん、わたし、こんなのいやよ〜あああ〜ん」
「ほんとにいやなのかな〜?!ええ、友子!」
「ぅあん、いじわるね〜ああん〜もう〜好きなようにして〜!」
「ふふっ、友子、じゃ〜これ!」
由紀夫はそう云うなり、友子の腰のパンティを、尻から抜いて太腿の中ほどまで降ろした。
「ぅううあ〜ん、ああ、こんな〜!」
正面の鏡に写った自分の格好をみた友子の悲鳴にも似た羞恥の声を上げた。

     

由紀夫が友子を後ろから抱きついて乳房と股間を弄りだした。電車の中で痴漢が襲うようなやり方で、由紀夫は大きくなった竿を友子の臀部にすり寄せて、友子の耳元に息吹きかけて、そうして友子の体を弄った。
「ぅう、うう〜ん、ああ〜ん、あ、ダメ、もっとそっとして〜」
由紀夫が握った乳房への力がちょっときつかった。二十歳の友子、はち切れる体を持っている。その弾力は空気をいっぱい詰め込んだゴムマリのようであった。ツンと突き出た乳房の先に、赤みを帯びた乳首があった。由紀夫の指が乳首を抓み、そうして指に力を入れる。抓んで緩めて、抓んで緩める。こうして友子の体の中へ、電気を流したような刺激を注入していくのだ。友子は、うなじが前後に揺らせて、全身の力を抜いていった。

この夜の、友子の登りつめかたは何時もとは違った。屋敷の中では、心の奥底に何かしら落ち着かない意識があったが、ラブホテルでの友子は、完全に由紀夫に身を任せたようだった。屋敷では、悶えて呻いて洩らす声、これが堪えるようなくぐもりだった。それがラブホテルでの友子は、誰にも遠慮がいらないような、開け切った気持ちに満たされたのだった。

しかし友子は、由紀夫と一緒にラブホテルへ入ることには、少し躊躇した。ラブホテルは、男と女がセックスをする密室である。男と女がセックスすることを目的に、利用する場所である。友子は、一般ホテルを利用して欲しかった。つまりセックスだけが目的だ、とは思いたくなかった。友子の意識のなかにある、高尚と下劣の区分がそうさせたのだった。

     

<うん〜ん、ああ〜ん、ゆきさん〜いいわ〜いい〜もっと〜して〜!>
友子は、縛られ、吊られてたったまま、乳首をつままれ、引っ張られ、そうして右へ左へとまわされて、快感刺激を注入されて、声にはならないまま、こころで叫んでいた。
「友子〜きれいだよ〜ほら、お乳が、張って硬くなってきてる〜!」
由紀夫は、なるべく淫らな言葉を、友子にかけてやろうと思っていた。
「もう、どんだけ濡れてきたかな〜、みてあげようね〜!」
<ぅううあ〜いい〜ああ〜もっとして〜もっと〜>
由紀夫の指が股間を弄り、秘唇を拡げて中へ指を差し込んだ。
「うう〜ん、友子〜まだ、もうちょっとだな!もうちょっと濡らすには、どうしょうかね〜!」

由紀夫は、友子をラブホテルへ導いて、屋敷ではできないような技で友子をいかせたい!と思っていた。ラブホテルは、男と女が情事を愉しむためにある。そう割り切って、由紀夫は牡になり切ろうと思った。友子を手首を後ろに縛ったまま、肱掛椅子に座らせた。そうして友子の股間を拡げ、膝を肘掛に括っていった。股間を左右に拡げられた友子。肱掛椅子に座って股間を拡げた友子の姿が、鏡に写っていた。
「ほ〜れ、友子、みてごらん、いやらしい友子が、写ってる、ほら!」
「ううわ〜ん、恥ずかしい〜こんな〜はずかしい〜!」
友子は正面に鏡に写った自分の格好をみて、羞恥の感情に見舞われた。肱掛椅子に座って股間を拡げている自分。覆い隠すなにもない股間は、そこだけが体の異物のように思われた。セックスで、秘所を拡げることがあるのは当然だけど、自分で確認することはない。

「ほら、友子、黒い毛、それにお口がぱっくり開いて、どう〜こんな姿みて、うつくしいな〜友子!」
「ぅううわ〜ん、ゆきさん、わたし恥ずかしい〜お股、かくしてよ〜!」
「ダメだめ、だめですよ〜!友子は、囚われお姫さま、ここでエッチをされるんだ!」
「ぅうう〜ん、ああ〜そんな〜ああ〜ん!」
友子の心は疼く。由紀夫の言葉には否定的に応えるしかないけれど、内心は気分が昂ぶっているのを良しとする。
<ああ〜どんなエッチされるんやろ〜ああ〜ん、どんな〜>
由紀夫が手に持ったのは、ピンクのバイブレーション。友子の背後から、鏡に友子の全身が写るようにして、股間の秘唇へバイブをあてがった。

     

ラブホテルでの時間は、友子にとっては貴重な体験時間だった。密室のなかで由紀夫と二人だけという、落ち着いた気持ちになった。由紀夫は由紀夫で、何時もとは違った場所で、友子への愛の与え方について大胆になった。愛の姿、愛の形があるとしたら、友子と由紀夫の愛の形は、少し歪んだ形なのかも知れない。

肘掛椅子に座って股間を拡げて、バイブを挿入されたとき、友子は、体の快楽だけを求めているような気になった。男と女が共にいて、睦まじく重なり交じることを、愛ある関係のなかでは当然と思う。しかし、お遊びとして体を弄ぶように思えた友子は、一気に醒めた気分を味わった。

心にゆらめくエロスの炎、それが気持ちを怪しくさせていくのだが、友子は、こうしてエロスの炎に埋没していくことに、怖さを感じだした。底知れない心の欲求を、満たせていくセックスの形。その道筋へ立入っていく恐怖の気持ち。

友子は、由紀夫という男と共にいること。これからの生涯を共にすごしていくこと。確かに由紀夫と共にいることで、自分の夢を実現できる。ギャラリーを持ちたいという思いを実現させてくれる。としても、はたしてそれでようのだろうか、との疑問符が生じてきた。どうしたらいいんだろう!友子は、ふっとノラの行動を脳裏に描いた。


えろすかろす物語-終-





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